去り際こそイイ女の見せ所、別れ方が素敵な映画リスト


12月に入り、今年もクリスマスまであと少し。否応無しに「カップル」を意識するこの時期、関係性が大きく前進するカップルも入れば、残念ながら終止符をうつカップルも少なくない。そんな別れの時、いろいろなことがあっても、去り際こそ美意識を見せるサヨナラをしたいもの。そして、キレイに扉を閉じて心地よく新しい出会いの扉を開け放とう。実際はクールな去り方はなかなか難しいけど、参考になるような名画のかっこいい別れのシーンを一挙に紹介。彼女たちから自立した女性像を見出してみて。

※映画のあらすじのネタバレも含むので要注意!

自分ファーストな大人の選択「セックス・アンド・ザ・シティ」

サマンサ・ジョーンズといえば、セックス・アンド・ザ・シティの中でも、最も自分らしい道を謳歌している自由な女性。自由気ままな男女の関係性を楽しんでいた彼女を射止めたのは、若くてハンサムで優しいスミス。2人の交際開始当初、スミスがサマンサに尽くしていたが、彼が有名になったことで最終的にサマンサが彼に尽くす側に。スミスと過ごした時間や彼の献身的な姿勢に感謝をしてるが故に、関係を保とうと努力したサマンサだったが、結局ストレスに耐え切れず、別れを切り出すことに。「あなたを愛してるわ。でも、自分をもっと愛しているの」という最後のセリフは、誰しもが自分を幸せにすることが最も大事であることを教えてくれる。

笑顔や目線で魅せる別れ「ロスト・イン・トランスレーション」

東京を舞台にしたソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」。若かりし頃のスカーレット・ヨハンソンが演じる人妻シャーロットの初々しさと妖艶さの入り混じった魅力は必見。彼女と初老のハリウッド俳優の友情とも愛情とも言い難い、微妙な関係性が東京のネオンライトの中でゆらゆら揺れる様は、まるで大人のおとぎ話を見ているよう。そんな絶妙な距離感の2人は、最後に東京の雑踏の中で別れる。静かに抱きしめあい、彼が耳元で何かを囁き、キスをして去っていく。シャーロットからは言葉は小さな声で「グッバイ」の一言だけ。でも、彼女の目線や笑顔、声色で2人で過ごした時間の尊さや別れの切なさが溢れ出ている。

お互いの夢を応援するが故の決断「ラ・ラ・ランド」

ピアニストのセブ、女優のミア。2人はお互いに夢を追いかけ、一緒にいる間に幸せも挫折も成功も挑戦も経験した。その道のりの中で、時にお互いを支え、時にお互いを傷つけながら、懸命に生きていた。しかし、ミアが夢のためにパリに行くことが概ね決まった時、最後に彼らが選んだ選択は、お互いの将来にとってベストな選択、別れだった。相手を心から愛するからこそ、その決断に至った2人。冷静に考えた上での話し合いだからこそ、感情的になったり、泣いたりもせずに、最後の言葉を交わし合う。「これからもずっとあなたを愛してる。」という言葉も、ミアとセブが見つめ合う表情も、このシーンの全てがお互いへの愛と尊敬の念を深く浮き彫りにしている。

ハリウッド女優が等身大の女性として告白「ノッティングヒルの恋人」

ジュリア・ロバーツ演じるハリウッド女優のアナが、ロンドンで偶然入った本屋の店主はヒュー・グラント演じるウィリアム。一見、何のつながりもない2人だが、偶然のいたずらで恋に落ちる。しかし、明らかな格差のある恋愛はアップダウンも激しく、とうとうウィリアムはライフスタイルの違いを理由にアナからの誘いを断ってしまう。そんな別れの最後にアナが言うセリフは映画史に残る名セリフとも言える。「忘れないで。私だって、ただ好きな男の子の前で、彼に愛してほしいとお願いしてる普通の女の子なの」。そして、アナが感情を押し殺しつつ、一生懸命に笑顔を振り絞ってこのセリフを言う姿は、誰しもが抱きしめたくなってしまうくらい儚げ。フラれていても、きちんと自分の心を伝えきる姿に拍手を送りたい!

映画史上最高に潔い別れ方「サウンド・オブ・ミュージック」

サウンド・オブ・ミュージックといえば、ジュリー・アンドリュース演じるおてんばな修道女マリアが、7人の子供たちの家庭教師としてトラップ一家を訪れ、最終的にトラップ大佐と結婚し、オーストリアへ亡命するストーリー。しかし、物語の最初トラップ大佐にはエルザという婚約者がいた。エルザはストーリーが進むにつれて、目の前で自分の婚約者が、見ず知らずの若い修道女に徐々に惹かれて行くのを目の当たりにし、最後には彼から別れを告げられる。大佐が別れを口にし始めた時、彼が最後まで言う前に遮り、自分の意見を述べた。「あなたのことはとても好きだけど、私とあなたは合わないわ。あなたは自立しすぎていて、私はもっと私を必要としてくれる人がいいの。一緒にいた時間はすべて楽しかった。ありがとう」。心変わりしてしまった相手に怒ることもせず、優しく笑顔で短い感謝の言葉を伝えて、締める。イイ女の鑑です。筆者はこれこそ映画史上、最高に潔くて思いやりに溢れた別れだと思う。

引き際は映画のようにクルーに大人の女性として振る舞いたいと思いつつ、実際のところは大好きな人と別れるのは辛いもの。でも、そこに至ってしまった理由がどれだけあったとしても、相手を選んだのは自分だから、最後くらい自分の責任を全うしたい。どんな最後を迎えるにしても、楽しかった時間があったことは変わらない事実。それなら、思いっきり素敵に別れて、「ああイイ女だったのに、惜しいことしたな」くらい思わせてやりましょう。きっと次の人もすぐに見つかるはず!筆者はそんなかっこいい女性は全員、幸せになれると言い切れます。